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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

「すいません。でもー」


一度頭を下げて「でも」と言いながら顔を上げた仁くんの表情を見て、大崎さんだけじゃなくて俺まで背筋が凍った


「アンタに従ってたのはあの人の彼女だったからだ。あの人と別れて俺らのグループと関係もないアンタに従う義理なんてこっちにゃねえんだよ」


睨むというか、凄むって感じで
高校生で、十歳近く離れてる仁くんの本気の顔を見せられて大崎さんは身を縮めた


こわい…
仁くんこんな顔すんの…!?


しばらく怯えたようにしていた大崎さんはその場にいるのがキツかったのか、震える声をなんとか抑えながら言った


「それなら別にいいわ。あなた達だけが頼りなわけじゃないし」


そうして立とうとした大崎さんを見て仁くんは思いっきり机を両手で叩いた


「人のモン取るのをやめろって言ってんだけど?」


声はさっきよりワントーン低くて、鼓膜じゃなく身体全体が振動させられた様に響く


「なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ!!もうあんたたちの力は借りないんだから関係ないでしょ!?」


大崎さんは恐怖心を振り切るように叫びながら言い返す


「この件には俺たちはもう関わらない。でも、俺と綾サンとの関係が切れるわけじゃない」

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