テキストサイズ

息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

俺は静かに唾を飲み込んだ
春陽の目をまっすぐ見て


「俺と別れたことの原因は大崎さんにあったんですよね?どうしてそれを俺に話してくれなかったんですか?」


と聞いた
春陽は少しだけ動揺したように見える


「…それは…」


そう呟いて口を閉じてしまいそうになった春陽に俺は更に詰め寄った


「俺は大崎さんから三浦さんの過去まで聞かされました。……恋人なら、俺は全部知りたかった。過去のことも……人に聞かされたりしたくなかった」


俺の言葉に春陽は気まずそうに目線を落とした
そして春陽はやり過ごそうと思ったのか言い返して来る


「…俺だって…知らないだろ。直の過去なんて」


こう来ることは予想してた
春陽だけに話させるなんてことできない

俺は肺の奥まで届かせるようにゆっくり、大きく息を吸い込んだ

そして柔らかく微笑む


「それでは、俺の過去を先に話しましょうか」


頑張れ、俺
ここが正念場だ


俺もまだ消化し切れてない、高校生の時の話
圭太に襲われた時に思い出したきり胸の中にしまいこんでいた記憶


「俺が、まだ高校生で…ここまでネガティブでも臆病でもなく、誰にでも愛想良く振る舞えていた時………俺は、信頼してた仲の良い友達に………襲われた」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ