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息もできない

第23章 今度は俺?

「春陽、お待たせ」


俺がそう言いながら小走りで駆け寄ると春陽はふわりと俺を抱きしめた


「おかえり、直」


そして外であるのも構わずに俺の髪にキスをした


「わわ、春陽!」


俺が焦るとそれを見て微笑みを深めてまた「可愛い」と言う



なんで!?
春陽がめちゃくちゃ甘い!
酔ってるわけじゃないよね?


春陽の腕の中で混乱して固まっていると後ろから


「人前なんだから、いい加減にしろよ」


と言われた


そうだよ!!
仁くんがすぐそこで見てるんじゃん!


俺は春陽から離れようと春陽の胸を押した
けど春陽は逆に力を込めて俺を引き寄せてくるから離れることが出来ない


「春陽…っ!」


俺が名前を呼んでも春陽は無視で、そのまま仁くんの方に話しかけた


「俺に用事があるって?」
「…あぁ」


簡潔に答えた仁くんの口調は少し攻撃的に聞こえる
そしてその強い口調のまま春陽に言い放った


「俺、谷口直が好きだ。お前から絶対、奪ってみせる」


え?
ぇぇぇえええ!?!?


俺が春陽の腕の中で動揺しているとそれが伝わったのか春陽が抱きしめた腕に力を込める


まさか、仁くんそれを春陽に宣言しに来たの!?
宣戦布告、的な……?

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