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息もできない

第23章 今度は俺?

春陽は仁くんを強く睨みながら力強く言った


「直は誰にも渡さない」


かっこいいなぁ、なんて呑気なこと考えている頭を俺はすぐに切り替えて仁くんに目をやると仁くんは何事もないように平然としていて


「俺、ちゃんと宣戦布告したからな?」


とにやりと笑った


あ……またあの笑顔
やっぱり綺麗だな


対して春陽は大人の余裕を見せるような表情で笑って


「来いよ。奪えるものならな?」


と言った

仁くんはやっぱりまだ高校生だってこともあって少し無邪気さがある顔をしているけど、春陽は成熟した大人の顔をしていて
その顔から溢れる笑みは驚くほどの色気に満ちている


わぁぁぁぁあああ
こんな、イケメンばっかり……とか
モテ期かな
いやでも、俺には春陽だけなんだから…!!


俺は春陽を押し返すために春陽の胸に当てていた手を握って春陽の服を掴んだ

それを見て少し苦い顔をした仁くんは


「じゃあ俺、今日は帰るわ」


と駅の方に向かう道へと歩いて行ってしまった


行っちゃった……
って、未成年じゃん!
大丈夫かな?送った方が良かった?


俺が目で仁くんの背中を追っていると春陽が俺の首の後ろを撫でた

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