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息もできない

第7章 はじめてなんですけど

俺が戻ったのを見てはるひはにこっと笑った

「おかえり。じゃ、俺も浴びてくるね」

と言ってバスルームへ消えた

これ、待ってる間って何してればいいの
なんか前に読んだ少女漫画で女の子が裸でベッドに入って「来て♡」ってやってるの見たな

流石にあれが正解ってわけじゃないよね…
でも、じゃあこのままベッドに座って待ってるのがいいのかって聞かれるとそれはどうなの

どう…しょ…

じっくり考えてる時間なんてもちろん無くて
答えが出ないうちにシャワーの音が止むのがわかった

や、やばい…!
どどどどーしよ…!

そうして俺が選んだのは
『ベッドの中で待ってて自分から誘う』
だった…

俺、初めてで何してんだろ
なんか自分の想像する初めてと違うかも
そもそも男の人と、だもんな

ガチャ、と扉が開く音で一気に鼓動が高まる

緊張する…
でも俺から言う、んだよな

「来、て………?」

そう言うとはるひが妖艶な笑みを浮かべた

「そんな可愛く誘っちゃって、もしかして男とも初めてじゃないんじゃないの?」
「え…?」

そんなこと言われてなんでか胸がズキンって痛んだ

痛……

さっきからずっと考えてた、けど
俺こんなんでいいのかな

なんか
バーではるひに言われたことがいまになって演技だったんじゃないか、とか思えてきて
そしたら俺遊ばれてるんじゃないか、とか、からかわれてるんじゃないか、とか

そんな疑うようなことしか思い浮かばなくなった

そもそもこの人のことを信じられる要素なんて、ない

なのになんで、俺…?

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