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「でも仁くん、学校はちゃんと行かなきゃだめだよ」


大人として不良に走った若者にはちゃんと注意しないと、と俺は語調を強めた


「別に俺、授業なんて聞かなくても勉強出来るし問題ない」
「そういうことじゃなくて……もう…」


なんて言えばいいのかな…


俺が悩んでいると、春陽が俺の背中を軽く押した


「直、いつまでも立ち止まっていると遅刻する」
「あ……ほんとだ……」


俺が歩き出すと仁くんは俺たちの後ろからついてきた


あれ、でもなんで仁くんここに来たんだろ？
ついて来てどうするつもり？


俺は春陽に小さな声で話しかけた


「ねぇ春陽。なんで仁くんは朝からウチに来たの？」


すると春陽は一瞬驚いた顔をして、困ったように笑った


「それはもちろん、直に会いに来たんでしょ」
「？」


俺がわからない、と首を傾げていると春陽は俺の鼻を指でつついた


「なんか、あいつが不憫に思えて来たな」
「へ？」
「口説きに来たんだよ。直のこと。直が会社に行ってる間は俺もあいつも直に会えないでしょ？だから、家と会社の行き来の僅かな時間でも会いに来たんだよ」


そう言われるとなんだかすごく照れくさい