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息もできない

第23章 今度は俺?

俺は手を放してもらおうと手を引いたけど、仁くんが力を入れてそれを許してくれなかった


「ちょっと…仁くん…!」


俺は小さい声で仁くんに声を掛けてみたけど仁くんは無視で、春陽がいるカウンターの目の前まで俺の手を引いて歩いた


「………」
「………」


春陽と仁くんは暫く無言で見つめ合って
仁くんは俺の手を放した


な、なに?
なんなのこの空気


「直、そこ座って」


と春陽が俺に席をすすめたから、俺はとりあえずカウンター席についた


春陽は仁くんのことはなにも言わずにカウンターの中で手を動かし始めてしまう


ど、どうすればいいの…?


「仁くんもご飯食べてく?座ったら?」


と俺が立ったままの仁くんに声を掛けると仁くんは首を横に振った


「いや、俺今日は帰る」
「そ、そう?」
「じゃ」


仁くんはそう言うと振り返りもせずにさっさと店から出て行ってしまった

それを見ていたはずの春陽はそのことになんの反応示さない


うう……
空気がぴりぴりしてる……
怖いよぉ


俺はその空気に耐えられなくなって恐る恐る春陽に話し掛けた


「は、るひ…?」
「なに?」
「怒ってる…?」

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