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息もできない

第23章 今度は俺?

そして


「春陽だけが、好き」


と言った

すると春陽は大きくため息をつく


「はぁぁ…もう。変に言い寄られたりしたらお仕置きだから」
「うん」
「じゃあ、早くご飯食べて。はい」


春陽は俺の食器を取り上げて食べさせてくる


前もこんなことあったなー…


なんて思いながら俺は次々と口に運ばれるご飯を食べ続けた


「美味しい?」
「うん。すごい美味しい」
「そう。よかった」


二人きりの時間はむせ返ってしまいそうなほど甘くて、悪いけど仁くんのこと思い出せなくなるくらい好き

俺は幸せに浸り切りながらまだ顔に嫉妬の余韻が残る春陽を見つめていた


俺は春陽に心配かけないようにしようって思った

けど

仁くんは次の日の朝も、その次の日の朝も俺たちのマンションの前で待っていて
俺が仕事を終えて会社を出るといつも俺のこと待っていた

そしてメールも、それまでほとんど来なかったのに少しずつ増えてきて俺が返信しなくてもメールが来るようになった
内容はいつも簡潔で、その時あったことを送って来るだけ

でももちろんそのことに春陽は心配して


「なぁ直。あいつ思い悩んできてないか?」
「んー…そうかなぁ」
「メールの頻度高くなってきてる。それに…」

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