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息もできない

第23章 今度は俺?

お粥を食べ終えると圭太が薬と水を持ってきてくれた

俺がそれを飲まずに黙って見つめていると仁くんが


「いい歳して薬苦手とか言わねえよな?」
「う……」


実は、苦手
だって苦いし
固形物が喉を通っていく感じとかすごく苦手


俺が眉を潜めていると台所で食器を洗ってくれていた圭太が「あ、忘れてた」と買い物袋を漁り出した

そして


「はいこれ」


差し出してくれたのは可愛らしいイラストの書かれたゼリー
薬を包んで喉に流し込む用のもので異物感もないし苦くもない
ご丁寧に「いちご味」と書かれたそれは子供用


「ちゃんと覚えてたろ、俺」
「………」


自慢気な圭太に対して仁くんは呆然としている


呆れてる、よね……


俺は恥ずかしさから俯いて素早くスプーンの上で薬をゼリーで包んでいく


すると


「く、っははははは!!!」


仁くんが突然笑いだした


「!?」
「はっはっはっ……」
「何!?何!?」


仁くんは尚もお腹を抱えて笑っている

その笑い声に驚いたのか圭太が台所からやってきた


「え、何?こいつなんでこんな爆笑してんの?」
「わ、かんない……」


俺たちは2人で笑い続ける仁くんを眺めるしか出来ない

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