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息もできない

第23章 今度は俺?

すると直はお椀を持ったまま中身をじっと見つめている
食べないのか?と俺もそれを眺めていると直が俺の方へ視線を移した


「なに?」
「こういう時は看病する人が食べさせてくれるんじゃないの?」


なんか今日は甘えただな
可愛い


「いつもそうさせてもらってた?」
「ううん、別に」
「じゃあさっき中野にそう言われた?」
「ううん」
「さっき福山にやってもらった?」
「ううん、違うよ春陽」


わかってるのに大概意地が悪いな、俺も


「じゃあなんで?」


そう聞くと直はその綺麗な顔で綺麗に微笑んで見せた


「春陽に食べさせて欲しいから」


直の笑顔につられて俺も微笑む


「なるほど。それなら、食べさせてあげないとね」
「そうだよ。はい」


直はにこにこしながらお椀を俺の方に差し出した

俺はそれを受け取ってレンゲでお粥をすくう
軽く息を吹きかけて冷ましてから直の口元に運んだ


「はい直、あーんは?」
「え、それ言わなきゃだめ?」
「当然。俺に食べさせてもらってるんだからそれぐらいやって?ほら可愛くあーん?」
「ぁ……あー…ん」


ぎこちなく開いた口にお粥を入れると直はすぐに声を上げた


「美味しい」
「早いよ。ちゃんと味わって?」

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