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息もできない

第24章 過去と現在

こんなにデカい男を軽々と抱き上げられるなんて、喫茶店業務っていうのはそんなに力仕事なのかな?

とりあえず、甘えておこう


俺は春陽の首に腕を回した


「やだ」
「ん?」
「落としちゃやだ」
「ふふ、落とさないよ」


俺は抱えられたままベランダの個室露天風呂についてる脱衣所に運ばれた

春陽は俺を脱衣所に下ろしてから棚を漁りだす

取り出したのは浴衣
各部屋に人数分置いてあるありきたりなやつ


「あ……」
「?」
「ごめん、直」
「何?」
「俺が泊まるって言ったくせに着替えと下着忘れてた」


春陽の言葉に俺は小さく吹き出す


いつも用意周到な春陽にしては珍しいな


「別にこの服を明日また着てもいいし、大丈夫だよ」


俺が言うと春陽は


「あ……いやでも確かクリーニングサービスやってたはずだから、フロントに頼めばいいのか」


独り言のように納得した春陽は俺に向き直ると


「直、先にお風呂入って待ってて?俺ちょっと浴衣に着替えて服のクリーニング頼んでくるから」
「……俺を一人にするの?」


俺が軽く睨むと春陽は笑った


「走って行ってくるんで許してください。あんまり遅くなるとやってもらえないので」
「じゃあ五分越えたら怒る」
「了解」


春陽は俺に軽くキスをしてから浴衣に着替えて、俺の服と自分の服を持つと走って部屋を出て行った

俺は裸で部屋に取り残された

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