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息もできない

第24章 過去と現在

俺は1人で立ってるのも風邪をぶり返しそうな気がして、湯船に入った

源泉掛け流しの露天風呂は少しだけお湯が熱いけど、外の寒さと合わさって丁度いい感じ


気持ちー……


露天風呂から一望できる海には太陽が沈もうとしているところだった


綺麗
夕陽をゆっくり眺めるのなんて何時ぶりかな
最近色々と忙しかったから


俺がぼんやりしていると、春陽が帰ってきた


「おかえり」
「ただいま。湯加減どう?」
「丁度良いよ。気持ちいい」


春陽は俺の答えに満足そうに微笑んだ

浴衣を脱いで春陽も湯船に浸かる

個室露天風呂なんてものは基本的にはそんなに広く出来ていない
俺と春陽が入った湯船はどこか触れ合わないといられないくらいの小ささ

俺たちは横に並んで肩を触れさせながら一緒に夕陽を眺めた


「綺麗だねー春陽」
「でしょ?ここはこれで有名なんだから」
「そうなの?」
「後は料理も」


そういえばお昼ご飯食べてない
お腹すいた


「お腹すいた」


とそのまま春陽に伝えると笑われた


「すぐ晩御飯だよ」
「ん……」
「眠くなってきた?」
「んー……そうかも」
「泣き疲れたかな。少し寝てもいいよ?沈まないように見ててあげる」
「じゃあ、お願い……」


俺は春陽の腰に跨って抱きつくみたいに全身委ねる


「全く、この寝方って……俺の理性とかさ……」


と意識を失う直前に春陽が呟いた声は耳には入ったけど脳には届かなかった

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