
片想いの行方
第14章 夏祭り
ヒメは、黒のタンクトップに短パンというラフな格好だった。
腕に何連かに巻きつけた石のブレスレットをして、耳には小さいフープピアスがいくつかついている。
……
こんなにシンプルなのに…
相変わらずオシャレだな…
「お前は浴衣着ないの?」
ヒメがふいに口を開いた。
「えっ!?…う、うん…
あたしあまり似合わなそうだし…」
久しぶりのヒメの声に、ドキドキしながら答える。
「そう?あーゆう水色のやつとか、美和に似合いそうだけどな」
「……え…?」
ヒメの視線の先に、花火の柄が淡く描かれた浴衣を着た人が、楽しそうに金魚すくいをしていた。
…ターコイズのような、青。
あの日の記憶が蘇る。
「……あの……ヒメ……」
