
片想いの行方
第32章 選択、そして決断の先に
「…… 冗談やめてよ」
私は缶ビールを空けて、乾いた喉に流し込んだ。
「他の女を好きなのが明らかなのに、傍にいてもらってもこっちが迷惑よ。
私の事が好きで、私に甘い言葉を囁いて、私の近くにいないと意味がないの。
だから蓮の水泳なんて、観に行く理由がないし、興味だって……」
「違うでしょ」
私の言葉を遮って、麗子が静かに言った。
「自分が優位に立ちたくて、興味のないふりをしてても。
蓮くんとあいつと一緒にいると、どんどん2人の魅力にはまりそうで、怖かったんでしょ?」
「……………っ」
「ただ単に飾りとして置いておくだけじゃ、勿体ないほどのいい男よ?
優香が知らなかった、想像以上の2人の優しさに……
心が惹かれて、どうしようもなくて。
自分の思い通りにいかないことが、あんたをどんどん暴走させたのよ。
もっとちゃんと、彼らと向き合っていれば。
彼らの本当の笑顔を、きっと優香も見る事ができたのに」
