
片想いの行方
第34章 真実の願い
みんながなぜか顔を赤らめて笑うのを、不思議に思いながらも
………確かに
いつもの騒がしいこの空間も、今日はなんだか居心地が良く感じていた。
「よ~~し!
そんなヒメの珍しい態度を祝して!
俺、バラード歌っちゃいます!!」
「いいぞ~~中野~~~!!」
中野と呼ばれた、この中で1番歌の上手いやつが、画面に向かって曲を打ち込んだ。
みんなが盛り上げる中、俺は意味もなく、手元の液晶パネルに目をやった。
曲が始まると
みんなが静かになり、そいつの歌声に酔いしれる。
そのメロディーを聞きながら
俺は美和の事を思い出していた。
