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片想いの行方

第52章 その男、再起不能



今年30歳の麗子さんは


今では私なんかが気軽に話しかけられない程の、超スーパーモデルになっていた。


ナチュラルなうちの服とは系統が違うけど


女が惚れる程のかっこよさと美貌を持つモデルといえば、麗子さんの右に出るものはいない。





「……で?

このハゲが会社に残るのに、あんたと美和ちゃんが辞める?

それって全っ然納得いかないわ~」




麗子さんは立ち上がり、ヒメの隣りに並ぶ。


後ろから見る姉弟は、輝きすぎてオーラが半端ない。



「おい、口に気を付けろ。
こんなんでも、会社では偉い人らしいんだ」


「知らないわよ、私には関係ないし。
それよりも、弟がプーになるのは困るのよね~」



一条さんと背の高さが変わらない麗子さんは


彼をまっすぐに見据える。




「そんなイジワルするなら、私も仕返しするわよ?」




茫然とする一条さんに向かって、麗子さんは続けた。





「私ね~自分で言っちゃうけど、この業界ではすっごい顔が広いのよ~。


モデル仲間、色んな芸能事務所の社長さんや、各プロダクションのお偉いさんも。


努力して培ったポジションだし、とてもいい人達に恵まれたの。


だから



美和ちゃんを辞めさせるなら





この会社との契約は白紙。



このメーカーの服は着ない。





やろうと思えば簡単だわ」





「…………………!」

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