
片想いの行方
第52章 その男、再起不能
「……………!」
ヒメの発言を聞いて、一条さんの顔が歪んだ。
………少しずつ、状況を理解してきた私の目に
涙が溢れてくる。
「知らないわよそんなの。
全部この一条のせいなんだから」
優香さんがしれっとして言うと、麗子さんが笑う。
「この男にどれだけの価値があるのかわからないけどさ~。
これだけの損失を出す嘘つき男。
さすがに会社の社長さんでも庇いきれないわね」
クスクスと笑いあう2人の間で
ヒメが静かに口を開いた。
「……分かったか?
お前と俺達。
利益を追求する会社が、どちらを残すかなんて一目瞭然だ」
ヒメは腕を組んで、低い声のまま続ける。
「会社は様々な人の上で成り立っている。
お前1人の微々たる力で、他人の人生変えられると思ったら大間違いだ。
お前が美和を辞めさせるような真似をした時点で
必然的にお前が追い出される結果に繋がる。
……一条。
脅しじゃねーぞ。
俺達は本気だ」
