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片想いの行方

第52章 その男、再起不能



雲間から一筋の光が射すように



長い間、厚く心を覆っていた苦しみが、澄み渡るように消えていく。





さっきまで、右足を組んでソファに座ってた。


今も、松葉杖無しで立っている。



………もう、騙されない。




救世主の3人の後ろで、私も立ち上がろうとした。





だけど





「……ふふ………ははは………」





放心していた顔はそのまま、一条さんがふいに笑い出した。





「……くだらん。

会社の業績が傾こうが潰れようが関係ない。

俺の知ったことか」



「……………!!」




ゆっくりとソファに座りこむと、嘲笑うかのようにヒメ達に向かって続ける。




「申し訳ないが、俺にはでかいバックがついている。

何をしても尻拭いをしてくれる一族がいるんでね。

会社を潰そうが何しようが、許してくれるんだ」




一条さんはそう言うと、お腹をかかえて大笑いをしだした。



その姿は、もう半分自棄になっているようにしか見えない。

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