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片想いの行方

第52章 その男、再起不能




「……はぁ……どこまでも残念な男ね」




麗子さんが大きくため息をついた。




「30代半ばにもなって、いまだに親の脛かじりって。
究極にダサイんだけど」




その言葉を聞いて、一条さんが麗子さんをギロッと睨みつける。




「調子に乗るなよ。

お前がどれだけ有名な女でも、俺の父にかかれば………」


「お前のパパって、この1番端にいるやつー?」





一条さんの言葉を遮って




ヒメはポケットから何かを取り出し、一条さんに向かってひらひらと揺らした。





「確かにこんな総合商社に父親がいるってのは強いけど。

上には上がいるって、知らねーの?」



「………………!!!」




笑うのを止めた一条さんが、差し出されたそれをみて固まった。



私の位置からはよく見えないけれど


ヒメが持っているのは1枚の写真のようだ。




「お、お前………!
この写真を、どこで………!!」





一条さんの額から、大量の汗が噴き出した。



写真に伸ばした手が震えている。






ヒメはニヤッと笑うと、写真をさらに高く持ち上げた。






「……さっき優香も言ってたけど。


人の繋がりっていうのは、すげーよな。



お前が開き直るのは分かってた。


切り札ってのは、最後に出すもんだろ?」


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