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片想いの行方

第53章 彼の心



「だって……

ヒメも、麗子さんも、優香さんも……
めちゃくちゃカッコイイんだもん!

それに麗子さん……一条さんのこと……

最後に何度も……///」




部屋を出る時に、姉貴がハゲと連発していたことを思い出して

美和は可笑しくて仕方ないのか、両手で口を押さえて笑っている。




「……………」



……やべー……



こんなにもクるのかよ、俺………




美和が楽しそうに笑う姿を、ずっと見たかったのに



これ以上見続けたら、自分に歯止めが利かなくなりそうで



俺は美和から目線を逸らした。






「………ヒメ………」




笑いが治まった美和が、俺を見る。




「……本当に、ありがとう。


ヒメが来てくれて………本当に嬉しかった。


何度お礼を言っても、感謝しきれないよ。


どうしたら、この気持ちが伝わる?」



「……………」




美和に視線を戻す。




「……伝わってるよ」


「本当?」


「ああ。
これからは、ちゃんと心から笑えるだろ?」





俺の言葉に、美和は微笑んだ。





「………うん。

もう、過去を振り返ったり、逃げたりしない。

夢を見るんじゃなくて、自分と周りのかけがえのない人達を信じる。




………ヒメが届けてくれた、明るい未来。




私、これからずっと、大事にするからね」

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