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片想いの行方

第57章 溢れる想い

12月25日。



クリスマス当日の夜9時。



レインボーブリッチが眼下に広がる都内のBAR。




周りの恋人たちが幸せそうに寄り添う中で、俺と彼女だけは静かにその夜景を見つめている。




日本に着いて3日目なのに、時差ぼけのような不調が続いていて



普段はいくら飲んでも酔わない体が、早くも酒のまわる感覚に陥っていた。




だけど、俺の呼出しに合わせて帰ってきてくれた彼女の方が、よっぽど疲れていて。



追い打ちをかけるように告げた別れ話。





………自分の行動に反吐が出る。








「………なんてね。

本当はそんな気がしてたわ」





彼女は俺の手に絡めていた細い指を外して、ふっと笑った。





「総合商社マンのあなたと、国際線CAの私とじゃ、もともと時間が合わないから。


付き合ってるかどうかも分からなくなるくらい、逢えなかったし。


今言われた言葉も、思ってたよりもスッと受け入れられてるから、大丈夫よ」




「……………」




「……でもね、蓮。


あなたが別れを決めた理由は、時間のすれ違いじゃないでしょ?


……別れを承諾する代わりに、ちゃんと教えてほしいわ」


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