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片想いの行方

第57章 溢れる想い

「そう思ってるのは蓮だけかもよ?
相手の本当の気持ちなんて、本人にしか分からないんだから」




彼女がカクテルを飲み穏やかに話すのを聞いて、俺もグラスを持つ。





「彼女が1番辛い時に、すぐ傍にいた奴がいるんだよ。
だからもう、今さら俺が何をしても遅い」



「名前が同じ、茶髪でイケメンの彼ね?」




「……!」






俺の驚く顔を見て、彼女は目を細めた。





「………俺、そこまで喋ったのか………」



「ふふっ。
こんな言い方古いけど、永遠のライバルなのかしら」





げんなりする俺の横で、彼女は静かに続ける。




「偶然か……それとも運命か宿命か……


10年という月日を経て、もう1度巡り合ったのね。


もう1人の蓮を私は知らないけど。


………その片思いの相手の女性が羨ましいわ」




「……………」




「羨ましいと同時に

ちょっとズルイ」

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