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片想いの行方

第57章 溢れる想い


「………瑠璃 (ルリ) !」






その後ろ姿に声をかけると、彼女は立ち止まった。









「……俺、本当にお前のこと愛してたから」









今になって、その思い出のひとつひとつが蘇る。




彼女はゆっくりと振り返った。








「………嘘つき」




「嘘じゃない。

瑠璃と出逢えたから、俺は今でもこうしてやっていけてるんだ。

…感謝しかない」






彼女はじっと俺を見つめたあと、ふっと微笑んだ。






「残酷な人ね」






俺の傍まで戻り、手を握ると


瑠璃は静かに言った。






「ねぇ、蓮。


あなたはこれからも片思いだって言ってたけど。


その想いを開放しないと、あなた自身がずっと苦しむ事になるわ。


相手の事を考えるのは、とても素敵だけど。


自分の気持ちも大事にしてあげないと、可哀想よ」






「瑠璃………」

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