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片想いの行方

第57章 溢れる想い

瑠璃の温かい手が、俺の手を包む。




「パワー注入してあげる。

“ 蓮の想いが伝わりますように ” 」




「…………」




「フラれた女が、ここまでしてあげたのよ?

これで告白しなかったら、承知しないから」





瑠璃は笑顔のまま、俺から手を離した。




「善は急げね。
私が出ていったら、すぐに彼女に連絡しなさい」


「……クリスマスなのに?」




瑠璃の命令に、俺は苦笑する。




「クリスマスだからこそよ。
あと2時間ちょっとしかないから、急がないとね」



「きっと今頃、もう1人の男と楽しく過ごしてるんだぜ?」



「上等よ。
割って入って奪ったらいいわ」





いつも上品な瑠璃の言葉とは思えなくて



俺が笑うと、彼女も微笑んだ。





「……それでもし、きっぱりフラれたら。

飲みに行くくらいなら付き合ってあげる」





「………!」





「世界のどこかの国で

お互い偶然出逢えたらの話だけどね」

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