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片想いの行方

第57章 溢れる想い

瑠璃は再び出口に足を向けた。





「………さよなら、蓮」





最後の言葉が震えている。



俺はもう、その手を引き留めることはできない。





「………瑠璃、ありがとう」





絞り出すように、その後ろ姿に告げたけど



瑠璃はもう振り返らなかった。













「………………」




再び体をカウンターの前に戻すと



瑠璃の飲みかけのグラスの傍に、俺が前に彼女へ送ったネックレスと



赤いリボンに包まれた小さな箱が置いてある。





そのブランドのロゴを見て、中身が腕時計であることはすぐに分かったけど



その包みを開ける事はしなかった。









俺が今すべきことは







ひとつしかない。

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