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片想いの行方

第59章 弱さと痛み

………もう、諦めろよ。




蓮がいる限り



美和が俺のものにならないことくらい、どこかで分かっていたじゃねーか。




10年前にも思い知ったくせに、淡い期待を抱いてここまで来たけど




また同じ痛みを味わうくらいなら、もう止めちまえばいいんだ。




美和への気持ちを無かったことにして、他の幸せを見つける方がどんなに楽か……




なのに




なんで忘れられないんだよ。





諦められない上に




美和の幸せを考えてやれないなんて





「…………………」





だからか……



こんな男だから




美和は俺のものにならねーのかな………







「………ヒメ………」







アンナが俺の手を握る。




その手の甲に、俺の目から一粒の滴が落ちた。





………またかよ………





何においても、自分の意思や態度ははっきりしてる方だ。


ぐだぐだ悩んだり、戸惑うことは、自分の性格上ありえねぇ。




………だけど





美和の事になると、途端に臆病な男になってしまう。








「………もう



どうしたらいいかわかんねーよ………」

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