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片想いの行方

第69章 ☆甘い夜

「……終わりじゃないんだけど」

「けど?」

「……教祖が……」

「教祖?」

「本心を抑えろって、俺に啓示を……」

「……………」




沈黙。

少しの間の後で、美和が無表情で俺を見て言った。




「………ヒメ、大丈夫?」




俺をどこか憐れみの目で見つめる。

仰る通り、俺、大丈夫なんだろうか。

今さら何をこんなに悩んでるんだろう。




「よく分からないけど、その教祖って人に何か言われたの?」

「………まあね」

「他に、何か言ってた?」




いきなり宗教じみた発言をしたのに、普通に会話してくる美和。

こーいう素直な所も……俺としてはツボ。

じっと俺の様子を窺う美和を見つめながら、蓮の言葉を再び思い出す。




“ 大丈夫だ、ヒメ。
お前は、そのままでいいんだよ ”




「………………」




…………どっちだよ!!


見守れつったり、自分らしくいろって言ったり


てめーの御告げはブレすぎなんだよアホ!

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