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12cm~越えられない距離~

第3章 ヘンなヒト?~晶side

「どうかしたの?」

中谷くんに尋ねると

「ん?いや…間に合えばいいけどね」

「もうすぐ5限始まるからね」

「…そっちじゃないんだけどな~」

意味がわからず、キョトンと中谷くんを見返す。

すると、榊原くんがバタバタと走り込んできて、中谷くんにピースした。

「お、良かったじゃん」

「とりあえず、な」

ニカッと笑って、榊原くんも自分の席に戻っていった。

「…そっちって…どっち?」

「へ?何が!?」

「何がって…もういいや」

ふうっと息を吐いて、5限の準備を始めてると、中谷くんが話しかけてきた。

「根本さんって、真央と友達なんだ」

「うん。同じ部活だしね」

「あ、バスケ部か。成程ね」

「そっちも仲良いよね。前からの知り合いだって?」

「ん~、よく近所に遊びに来てたから」

口の端を曲げてシニカルな表情になると

「俺の事、何か言ってた?」

「変人だって」

「やっぱり」

くくっと喉の奥で笑ってる。

「どうして絵を描かないの?」

私の問いに、笑いを止める。

「描きたくないから描かない…それだけなんだけど」

ぽつりと呟かれた言葉が何故か重くて。

それ以上聞けなかった…

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