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不器用なくちびる

第13章 親友

土曜日の11時半。
橘くんが決めてくれたカフェに向かう。

私は毎週土曜日の夕方から夜にかけて
のバイトだけは残し、あとはかなり
セーブして葉子先輩のお手伝いが
できるようにしていた。

橘くんが指定したお店は
偶然にもバイト先に近かったから
ギリギリまで話せるのが嬉しかった。

少し早く着くつもりだったのに、
何を着て行くか迷ってて時間ぴったり
になっちゃった…

橘くんには瑞希ちゃんっていう
すごくかわいい恋人がいるのに、
私ったら浮かれちゃって
バカみたいだな。

でもずっとずっと会いたかったの。

何を話したらいいかわからないって
思ってたけど、話したいことなんて
山ほどあるって気もする。

あぁ、でもいざとなると緊張するよぉ…
会いたいけど、に、逃げたい…
そんなことを考えながら入口で
立ち尽くしていると


「後ろ、詰まってますけど?」


橘くんの声だ。

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