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不器用なくちびる

第13章 親友

橘くんは私の手を引いてお店に入った。

え?え?え?!


「なんか…香山…
逃げちゃいそうな顔してたから。」


図星…
それにしても手をつないだのなんて
初めてかもしれない…
今の私には刺激が強いよ〜

お店に入ると、古びた建物を
上手く生かしたとても素敵な空間で…
私は緊張も忘れて感激していた。


「わぁ〜素敵なお店だね!」


席は全てボックス席で、グリーンや
雑貨の棚や絵画などで、他の席が
見えないように工夫されている。


「だろ?高校の時からよくこの席で
勉強したりしてたんだ。」


橘くんが迷わず向かった席は、
イギリスの風景や雑貨が飾られた
一角だった。


たまたまだよね…?イギリス。


「ここでいつも…
香山のことばかり考えてた。
ここには…
誰も連れて来たことがないんだ。」


えっ?!
そんな恥ずかしいことサラッと…
なんか橘くん変わったな。


「ここはイギリスの紅茶もおいしいよ」


橘くんは眩しい笑顔で笑った。

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