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不器用なくちびる

第20章 【春菜 14才】

「今井…思い切ったことやったよな。
っていうか、ギプスもしないで
よく香山は信じたよな…」


数日後私はまた橘に呼び出されていた。
っていうか…演技だってバレバレ?
騙されたのは栞と担任の高橋だけ…
他のクラスメイトは、私がサボろうと
嘘ついてるとでも思ってるかも。


「でも…お前のこと見直したよ。」


「///…ありがと。
ってかごめんね、橘。」


「あ〜いいんだよ。俺はもう…」


いやいや、私はこれからまだ栞に
してあげたいことがあるんだよ…
うまくいけば橘にはすっごい
謝らないといけなくなるかも…


「まぁ…橘って何気に人気あるし、
すぐに栞よりかわいい彼女できるよ!」


「そんな日…全く来る気しねぇよ…」


私のことはやっぱり眼中無いよね…


「縮毛矯正でもしようかな。」


「何?」


「何でもない…」


その日、私は吉井の家に押しかけて
栞の気持ちを伝え、最後の日までに
何でもいいから想い出をつくって
あげて欲しいってお願いしていた。

ウブな感じで女子に人気のある
吉井には、意外にも他校に秘密の
彼女がいるらしく…
栞の気持ちを聞いて満更でもなかった
みたいだけど、恋のキューピッドに
なることは出来なかった。

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