殺人鬼の棲む島
第36章 5日目 早朝 岡山県某漁港
忌々しげに漁師が説明するにはこういうことだった。
黒鵜島にリゾートで遊びに来ていた家族が中学生の男の子のお参りに島の神社に行った。
祈祷を済ませて帰る途中、突然その中学生の男の子が狂ったように暴れ始め、隠し持っていたナイフで両親を刺し殺した。
更にナイフを振り回して付近にいた人を斬りつけたというものだった。
神社の参道は地で赤く染まった。
それは当時ニュースとなり、静かだったこの辺りは大騒ぎとなった。
当然それ以降黒鵜島にやって来る観光客はいなくなった。
「みんな気味悪がってあの島辺りには近づかねぇ……虚空蔵尊様の祟りだって言ってな」
「コクゾウソン様?」
聞き慣れない単語に未来が首をかしげる。
「ああ。あの島にある神社の名前だ。瀬戸内虚空蔵尊。元々静かだった島によそもんが来て神社とかも落書きされたり荒らされてな……だから虚空蔵尊菩薩の祟りだって。まあ馬鹿馬鹿しい話だけどさ」
「その口ぶりだとあなたは信じてないんですね?」
ともこは知的な眼差しを光らせて漁師に問う。
黒鵜島にリゾートで遊びに来ていた家族が中学生の男の子のお参りに島の神社に行った。
祈祷を済ませて帰る途中、突然その中学生の男の子が狂ったように暴れ始め、隠し持っていたナイフで両親を刺し殺した。
更にナイフを振り回して付近にいた人を斬りつけたというものだった。
神社の参道は地で赤く染まった。
それは当時ニュースとなり、静かだったこの辺りは大騒ぎとなった。
当然それ以降黒鵜島にやって来る観光客はいなくなった。
「みんな気味悪がってあの島辺りには近づかねぇ……虚空蔵尊様の祟りだって言ってな」
「コクゾウソン様?」
聞き慣れない単語に未来が首をかしげる。
「ああ。あの島にある神社の名前だ。瀬戸内虚空蔵尊。元々静かだった島によそもんが来て神社とかも落書きされたり荒らされてな……だから虚空蔵尊菩薩の祟りだって。まあ馬鹿馬鹿しい話だけどさ」
「その口ぶりだとあなたは信じてないんですね?」
ともこは知的な眼差しを光らせて漁師に問う。