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殺人鬼の棲む島

第4章 一日目 昼

「わぁ……あれが黒鵜島なんだ……」

デッキに駆け上がった悠夢は手摺に身を乗り出して眼前に現れた奇岩で出来たような荒削りの島を見る。

「なんか……迫力あるよね……」

望も悠夢の隣で身を乗り出していた。

「うん……」

悠夢の顔はどこか思い詰めたように引きつっていた。

「だーいじょうぶだって。たぶん見た目ほど島の中は怪しくないよ?」

「そうだよね」

「すまいるさんが言うには島の中には凄く綺麗で立派な洋館があるって言うし!! 楽しもうっ!!」

やけにテンションをあげる望をゆきめはじっと見詰めていた。

正確には望の指先を見ていた。

それほど寒くないのに望の指はやけに震えていた。

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