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殺人鬼の棲む島

第65章 7日目 夕方 黒鵜館リビング

リビングにはボディクリームの残り香が漂っていた。

つい先程までここに人がいたことの痕跡が大胆に残されていたのだ。


「紫響っ……」

それは間違いなく紫響の残したものだと悠夢は確信する。

残念でした、と嘲笑うような香りだった。

「ふざけやがってふざけやがってふざけやがってッッ!!」

頭に血が上った悠夢は手にしていた西洋の剣でソファやテーブルを叩き斬る。

ソファの中の綿が舞い散り、雪のように降る。

血管が浮き上がった目で室内を見回す。

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