
「君は失恋をして、綺麗になった」
第2章 「なごり雪」
『本当はね…
凛が三上さんと付き合ってること
気づいてたの。
なのに……キスなんかしてごめんね』
そう謝ってみるけど
不思議と罪悪感はない。
ごめんね、三上さん。
ちょっとズルいけど、許してね。
「……知ってる。
唯の気持ちも分かってるから…
だから気づかせるように
わざと三上の名前出してたし
結構きついことも言ったんだ。
でもまさか…
唯がこんなに積極的だったとは
幼なじみの俺でも知らなかったけどな」
そう言って、凛は珍しく笑顔を見せた。
よかった……
私、嫌われてたわけじゃなかったんだ。
正直、振られてもなお
その穏やかな笑顔には
胸がキュンッと締め付けられる。
でも…
もうこれで悔いはない。
凛とのことも、三上さんとのことも…
私きっと、応援できるよ。
