「君は失恋をして、綺麗になった」
第5章 「I wish you a merry Xmas.」
『ごめんね、新くん…
こんなところ
好きな子に見られたら大変だよね。
ありがとう…
もう大丈夫だから』
泣きすぎて腫れた目。
鼻水でいっぱいの顔。
情けない自分を隠そうと
わざと下を向いたまま
離れたのに…
気づけばまた
私は彼の腕の中に収まっていた。
「俺が好きなのは
ずっと変わらず…
柊先輩だけですよ。
やっと俺にも
チャンスが回ってきたんですから
今は精一杯、甘えてください」
人の失恋をチャンスだなんて
意地の悪い人。
でもその生意気さが新鮮で
ちょっと違う意味での男らしさを
垣間見た気がした。