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「佐伯の事は任せて貰った。
　井崎から、なんとしても佐伯を放す。」

「隠土先生が　ではなく
　あの人が　ってことですね」

当然、やるのは次朗だ。


「…ま、やるとは思いますけど」

「松井さん、何か引っかかる事でも？」

「井崎優司の身体は
　無事で済むかどうか…」
　佐伯さんが
　今日見てた本なんですけど」

「あぁ…　その心配はいらない。
　教頭にも嘘言って　
　納得してもらったけど
　佐伯は別に妊娠なんてしてない」

「っは？！！　妊娠？！」

やべ　香田はこの事
何も知らないんだ…。

「そうでしたか、
　隠土先生がそうおっしゃるんなら
　…良かった…」

「え　ちょ　なんすかそれ？！」


さっきの教頭先生同様に、
香田が無い事実に慌てている。

…言わなきゃ良かったな　
ごめんな。



「あーーーっ！！クソっ！！
　俺がバカだった！！！

　だぁぁ…っ！」

だよな、それが事実でないとしても
その単語が出たことにショックだよな。

香田にとって佐伯は
妹みたいな存在なんだもんな。



「…次朗さんのケツ叩きましょう！！
　もう！すぐにっ！！」

「だね
　さて、じゃ早速行きましょうか。
　ケツ叩きに。」



うーん…

自分からいくのに
やたら渋ってる様子なのは気になる。



「今どこだろ…電話してみるか」

「あそこにいます。」

松井先生が額に指を当てる。
何か、見えているようだ。

「あそこって？」





俺が二人に案内された場所

それは次朗が俺の家にくる前、
曾孫と一緒に住んでいた場所だった。