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「再会」と呼べる「出会い」

第11章 お仕置きとケツ叩き

そこは不思議な場所だった。

「ここは…現実だよな?」

すぐ前を歩く松井先生に
確認してみる。

「はい 一応は」


部活中の野球部の掛け声が聞こえる。
学校からはそう離れていない。


けど

石畳の道路、レトロな字体の看板
塀の向こうから覗く土蔵
駄菓子屋もある …懐かしいな

昭和の時代が舞台になった映画で
こんな景色を見た気がする。

只、人は 歩いていない。




「隠土先生、ここです」


松井先生と香田が
黒いタイル張りの建物の前で
立ち止まった。


【軽食・喫茶 濁天】


看板にはそう書かれている。


「だくてん…  
 あれ?」

俺は窓にはめ込まれた
ステンドグラスに目がいった。

「…これって」

「そうですね。
 隠土先生は懐かしいと思いますよ。」

松井先生がドアノブに
手をかけながら微笑む。


間違いない。
このステンドグラスは
ハルシオだった頃に住んでいた家の
窓ガラスに使われていたものだ。


「いらっしゃい
 おや今日はお揃いだね。
 …あれ   
 
 貴方はもしかして
 ハルシオさん?」


「え」

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