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「再会」と呼べる「出会い」

第16章 それは襲い来るもの

梅子さんは

「約束守ってね
 茜ちゃん

 待ってるわね
 ハルシオさん」

にこやかにそう残し
魔方陣に消えた。

俺は魔方陣を浄化の力で消した。




「松井先生
 お願いできる?」

「井崎優司を見張るんですね
 分かりました」

「何か動きがあったら
 次朗さんじゃなく
 私に知らせて頂戴」

「はい」



井崎優司がまさかエレミム達と
関係があったとは…。

佐伯が思わぬ形で巻き込まれていた。


そういや物置小屋に
置いて来たあの二人、
あれからどうなったかな。

次朗は佐伯の記憶を消すのか?

…そもそも
巻き込んじゃいけないんだよな
って考えたら、
記憶は消してやった方がいいのかもしれない。


「隠土先生」

「はい」

校長先生が
百瀬の乱れた衣服を整えながら
俺を呼んだ。


「私がこれを言うのは
 おかしなことだけど
 
 神鳥さんの事
 もう一度頑張ってみたらどうかしら」

「え いや…俺には」

「さっき話を聞かれたのが
 いいきっかけになると思うの
 彼女の中に
 引っかかるものはあるはずよ」

「俺も そう思います」

塩田の衣服を整える松井さんが
校長先生に賛同した。


「…そうです ね」

「事態は思っているよりも
 悪い方向に
 進んでいるかもしれないわ

 私達が気付かないところでね」

校長先生の眼差しが
心なしか赤く光った。

さっきの
吸精鬼の目の光り方とは違う、
何かを覚悟したような、
燃える闘志を映したかのような
輝きだった。



あぁそうか


俺も覚悟しなきゃいけないんだ。


今更だが。



*…*…*…*…*…*…*






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