テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第16章 それは襲い来るもの

「すみません
 私ってば忘れっぽくって
 …あ いけない!
 そろそろ行かなきゃ!」

「由芽?」


逃げるのか?



「神鳥 ちょっといいか?」

「えぇ?
 急いでるんで
 今度にしてもらえませんかぁ?」


明らかに、誤魔化している。



「おっと かんちゃん
 ダメだよ
 補習をサボっちゃ」

丁度タイミングよく次朗が現れた。

「え 由芽 補習だったの??」

「そうそう
 家庭科の提出物がね
 不十分だったんだって
 ね にいさん」


助かった


「あーそうだ
 神鳥 家庭科だからって
 手ぇ抜いたな?」


勿論、出任せ。


「え え
 覚え全く無いんですけど?!」

「はいはーい
 咲ちゃん
 図書館にでも行って待っててよ
 終わったら直ぐ行かせるから」

「え …うん」

次朗が強引に
神鳥を準備室の中に押し込んだ。

「じゃ 由芽
 頑張ってね」

「え ちょ…!」





パ タ ン






調理準備室の中
窓を閉め、カーテンも閉め
そして…

パ チ ン


次朗が指を鳴らすと
調理室から聞こえていた
賑やかなざわめきも
聞こえなくなった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ