テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第16章 それは襲い来るもの

「月子は
 『クロ』という化け物に
 身体を乗っ取られていたんだ」

「完全に別人だったようですよ
 髪の毛もブロンドだったのが
 真っ黒になって」

香田先輩と松井さんが言う。



「君を救うため
 兄さんが命がけで
 君の中の『クロ』を浄化した
 兄さんが砂になったのは
 君を救いたくて
 全身全霊だったからだよ

 …この意味 分かる?
 兄さんの気持ち
 変わってないよ」





次朗君の言葉が
痛い位に胸に染みる。


私は隠土先生を見た。



「  ハルシオ」

改めて、その名前を呼ぶ。

「うん」


髪の毛や瞳の色は違うけど、
殆どその姿は変わっていない。


「ごめんなさい…!!」






私 
そして私の中の
月子がシンクロした。




「私は貴方を
 自分のせいで
 また失いたくない」










私は前世で
『クロ』という存在に
身体、そして心の自由を奪われた。


『私』は
大地を破壊し、生物を殺し
そして大切に思っていた
ハルシオをも手にかけた。




そんな簡単には消えないよ。


乗っ取られていたとしても
『私』は私なのだから。






なのに

隠土先生の腕は
全てを包み込むように
私を抱きしめた。




「二度と君を失いたくない
 …覚悟が出来たよ」



耳に触れる言葉に
胸が熱くなる。




みんな見てるのに…






触れる唇が熱くて溶けそうだ。


*…*…*…*…*…*…*

ストーリーメニュー

TOPTOPへ