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「再会」と呼べる「出会い」

第17章 溶ける体温

私は次朗君の腰に手を回した。
次朗君の身体は
細身だけど筋肉が付いているので固い。
そして独特の香り。
甘美で妖艶な香りは香水ではなく、
淫魔の血が混ざる
彼自身の身体の香りだ。

この香りだけで
普通の人間ならイチコロに
なっちゃうんだって。
特に彼の場合は水守の血が
それにさらに心地よさを与えている。

ミズカ だった時に
教えてもらった。




「緊張してる?
 心臓の鼓動が
 こうするとすごく伝わってくるよ」

身体がより、密着する。


「え っ…そ そうかな…」
 

この人の、カラスさんの心臓の音を、
私はあの日以来聞いていない。
と同時に、
この身体はあの日以来熱を持たない。


「あ 相変わらず冷たいよね
 身体」

「…うん
 昔はこの身体を温めようと
 必死になってくれたよね

 俺はベッドの上の君のこと
 ついさっきの事みたいに思い出せるよ
 …君は?」

「…へっ え あ…えっと」



や やば




「忘れたなら
 思い出せてあげるよ」






…だめ

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