テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

ドアの向こうでは、
エミが空を見上げていた。

「エミ!」

「空は
 世界中どこでも繋がっているわよね」

空を見上げたまま、
エミは微笑んだ。

「繋がってるよ」

私は応えた。

エミが私を見る。
私もエミを見た。

「エミ」
「ミカ」

「ごめんなさい!」
「ごめんね」

私達が頭を下げたのは同時だった。

「気付けなくてごめん
 優司くんとのことで
 エミが辛い思いをしてたこと…」

「そんなのはもういいの
 それより私の方が
 ミカにひどいことした」


たしかに
物置小屋での事は本当に悲しかった。
けどそれをしたのは
本当のエミじゃなかったってわかってる。

だからね
もう謝らなくていいよ

「あれはエミのせいじゃないから」


フワリ

エミが私を包む。

今日は
いつものキツい香水の匂いはしない。
ただ、変わってしまう前の
彼女自身の優しい匂いが、甘く霞める。

「ミカから次朗君の匂いがするね」

「…えっ  あ   」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ