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「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人


「本当にごめん エミ」

「私もね
 初めての時は痛かった」

「…」

エミは淡々と語る。

「でも
 ゆーくんのこと好きだったから
 嬉しさの方が勝ってて
 痛いって言えなかった」

好き、だったんだなぁ。

改めてわかると、
申し訳ない気持ちが一層濃くなっていった。

「ミカがそんな顔する必要ないわ
 ごめんね
 これはただの思い出話
 もう過ぎたことよ
 ただ 私がミカに言いたいのはね」

エミが私の重い気持ちを吹き消すように微笑む。
…やっぱりエミは綺麗だよ。

「好きな人には
 ちゃんと自分の思いを伝えた方がいいってこと
 いくら好きだからって我慢なんかしたら
 絶対あとで後悔するわ」

「…」

じわり
目頭が熱い

「離れていくのが怖いっていう気持ちがあったのは
 否定できないけど
 今はもっと自分の気持ちを
 ゆーくんに伝えておけば良かったって
 後悔してるの
 そうしたらもっと別の方法で
 支えられたかもしれないって」

うつむきながらフワリと髪をかきあげる、
指先が日の光にきらめいた。

「まだ 間に合うよ」

まだ間に合うよ。
だってエミと優司くん思いが通じ合ってたじゃない。

「私ね明日
 イギリスに発つの」

「え」

明日?

「早いよ
 急すぎるよ」

「パパの言う事にはさからえないから」

言いながらエミは苦笑した。

「私が悪いんだし」

「そんな…!」

「しばらく向こうで暮らすの
 ゆーくんのことは陰ながら応援することにした
 彼はもう大丈夫だと思うから…
 お互いリセットしなきゃいけないしね」

エミの目じりに滴が光った

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