テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

調理室に戻ると
チラホラ部員達が集まっていた。
さくらんぼはみんなに配ることにした。
人数分用意した袋にさくらんぼを入れる。

「1枚多かったね」

お休みはいないはずなのに
1袋余ってしまった。

「何言ってんの
 次朗君の分でしょ?」



「?」

「あーそっか
 家にいっぱいあるか」

「次朗君って?」

「ミカ??」
「ミカ先輩??」

スミレちゃん、ショウヤ君をはじめ
みんなが、私を不思議そうな目で見る。

「次朗君って誰?」

「何言ってんの?!
 ミカの彼氏でしょーが」
「そうそう」
「ケンカでもした?」

??


ごめん 分かんない。
次朗君って 誰?

「え やだ本気で言ってるの?!」

セリハちゃんが私を見る。

「…あれ?」

「…ミカ先輩 どうしたんですか?」

「え ぇっと」 

理由の分からない涙がとめどなく流れる。
どうしちゃったんだろう。
全く分からない。

「ごめ…
 私今日はお先に」

気まずい。
一旦一人になろう。

「うん…大丈夫??」

スミレちゃんが心配そうに見つめる。

「あーうん
 アレの前だからかな
 ハハ 情緒不安定?
 多分その内落ち着く」

「本当に?」

「ごめんね
 あとよろしく
 お疲れ様でした」


私は調理準備室を後にした。

次朗君が私の彼氏? え?
次朗君ってそもそも誰??

♪♪♪

携帯電話が鳴った。

「っ はい」
「ミカ 俺だけど」

電話の相手は井崎優司くん。
この間までお付き合いをしていた。
卒業の日に彼から告白してくれたんだけど
キラキラした人で
私にはあまりにも不釣り合いな気がして
一緒にいると辛くなってきたからお別れした。

先日イギリス留学したエミとの繋りもあり、
たまに連絡はとっていた。
今では良い友人関係だと思う。

「これから会える?」
「これから?」
「渡したいものがあるんだ」

校門を出ると優司君が立っていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ