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とあるホストの裏事情・完

第9章 男性客、現る。

ようやく唇が離れた。
俺の息は上がっている。


「ん……ごちそうサマ。」
「なんでっ…いきなり…はぁっ、…」

息の合間にそう言うと、斎藤さんが顔を近づけた。

「単に興奮したから」
「……え…?」
「だって……嫌そうな顔して『玲詞さん……』だよ?無理矢理言わされてる感あってたまんなかった」
「はぁ…」

やっぱり変態だ。この人。将悟の方をちらっ、と見ると、お酒を飲んでいた。

……んだよ…気にしてねぇのかよ…

こっちだって気にしてないはずだけど、やっぱり胸が痛んだ。


「どう?俺のキス。気持ちよかった?」
ドヤ顔で聞いてくるから少しいらついたけど、素直に「は、い……」と頷いておいた。
でも…ほんとに気持ちよかった。




「まあそりゃ当たり前だよねー!何てったってこの俺は、奥手な将悟の記念すべき初めてを奪った男でもあるからね!!」


ブーーーーーーーッ!!!!


将悟が思いっきり酒を吹いた。
まるで漫画みたいに。

「ゲェッホ、ゲッホ!!うっ、……斎藤さん!!!余計なこと言うなよ!!」
将悟が、今までに見たことない赤い顔で玲詞さんの肩を大きく揺らした。

「え?余計だった?」




将悟の………初め………て……

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