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とあるホストの裏事情・完

第10章 テイクアウトの罪

「俺、不器用だから傷付けてるかもー、とか何とか言ってたよ。」
「あー……そう…なんだ」

すると、斎藤さんが近寄ってくる。俺は、既に心開いていたため、逃げようとしなかった。


そして、顔が近付きキスをされる。ついばむような、そんなキス。

そしてゆっくり言葉を発した。

「傷の……ことも」

俺がバッ、と顔を上げると、斎藤さんは悲しい顔をしてた。
その顔に、言葉を詰まらせる。


「俺が…ちゃんと受け入れるから、全部。我慢しなくていいから、全部、俺に委ねてくれない?」

すごく優しい声で囁かれる。でも…

きっと、大分気を遣ってるに違いない。きっと、俺のこの傷を見たら…今まで通りに接してくれないかもしれない……
そんな不安がよぎった。


「でも……汚いし…」
「汚いか汚くないかは、俺が決めること。将悟も、汚いとこなんて1つも無かった、って言ってた」
「う……んっ……」

その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れてきた。
俺を…心から分かってくれる人が
俺を…恵んでくれる人が
俺を…受け入れてくれる人が

いるだけで幸せで。涙を流していた。
それを優しく、斎藤さんが拭う。

「…今日はやらないから……俺に全部見せて?」

抱き締められ、優しく囁かれる。素直に俺は、頷いた。

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