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とあるホストの裏事情・完

第22章 大切な人が

◇◆◇◆◇◆◇◆



ぼやけた光が写っているような気がして、目を開ける。
朝・・・・・・?

身体を捩ると同時に襲いかかってくるケツと腰と頭の激痛。
「っ、てぇ・・・」
思い出せ。昨日は・・・
ダメだ。今の自分の状況が理解できない。

感覚が戻ってきた身体。
「・・・んだよ、これ・・・」
両手は拘束されている。縄が食い込んでかなり赤黒くなっている。
しかも・・・
「さみぃ・・・」
裸。
シーツも何も掛けられておらず、固いベッドの上に“置かれている”感覚。

「おはよう、研斗。 よく眠れたみたいで良かったよ」
ドアの開く音と同時に聞こえる声。
その声に身体がビクッ、と大きく揺れた。
声の主は。
「あ・・・や、?」
同時に再生される、昨日の記憶。
「あ、ぁ・・・」
ニコッ、と不適な笑みを浮かべる絢の顔と声が、一気に頭の中に入ってくる。



『や・・・も、ゃだっ!』
『はは、元気すぎじゃね?ちょっと』
身体に打たれるのは、黒いムチ。
縛られ、弄ばれ。
『っは・・・! いっ!・・・つ』
『痛い?嘘でしょ。快楽でしょ?』
『んい゙っ・・・!!、かは・・・っ』
ヴヴヴと聞こえてくるバイブ音。
口からこぼれ落ちるよだれ。
完全に、壊れていたと思う。



「ぅ、あ・・・ 絢っ・・・」
「もう、朝イチで呼ぶならもっと甘い声で呼んでほしかったな~」

のんきな事を言いながらも、不適な笑みを続ける絢。
恐ろしささえ覚えた。

「お腹空いた?お家に帰りたい?将悟さんに会いたい?」
「将悟・・・ しょう、ごには、手、出してないよな・・・?」
一瞬面白くないような表情を浮かべたあと、俺の顎をガッ、と掴み上を向かされた。

「将悟さんには、今のところ興味は無いよ。今のところ、ね?
でも、研斗の行動次第でその興味がそっちへ行っちゃうかも・・・なーんて事もあり得るワケ」
「将悟は・・・ダメだ」
「・・・・・・そんなに大事なワケ?なーんか妬いちゃうなー」

将悟にだけは。
手を出してほしくない。
そう考える俺は、酷く冷静だと思った。

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