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「･･･何やってんの？」
「案外簡単に付いてきたんで、楽でした。仕事だってことはわかってたんですけど、上手く利用させてもらっ･･･」
「ふざけてるならいい加減にしろよ」
絢の口を手で勢いよく塞ぐ。
なおも彼は余裕の表情でこっちを見ている。
クソ、気に食わねぇ･･･
絢はゆっくり俺の腕に手をかけると、優しく下ろした。
「ふざけてないです。こっちは弟ですよ？　家につれ戻しただけ」
「“家”･･･？」
いや、それ以前に“弟”･･･？
あーもークッソ･･･
マジでふざけんな。
こう言っちゃ何だけど、研斗の家族なんてろくなヤツはいない。

「研斗はどこにいる」
「それは教えられません。個人情報ですから」
人差し指を口に当て、“秘密”のポーズをつくる。
･･･この余裕さがムカつく。
熱くなるな･･･俺。

「研斗は俺の。早めに返してもらわねーと困るんだけど」
「･･･だったら、僕とキスしませんか？」
「･･･は」
「僕とキスしてくれたら、家につれて行ってあげます。僕、優しくないですか？本当なら、ヌード写真とか撮りたいくらいなんですけど」

コイツはどこまでふざければ気が済むんだよ･･･
でも、研斗のため。俺の、大切な人のため。

「･･･わかった」
「･･･ふふっ」

今だけ、今だけは。
許して。