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とあるホストの裏事情・完

第23章 大切なあいつは ー 将悟side ー

「もういいよ・・・。さっさと済ませて研斗のとこにつれて行ってくれよ・・・」
「・・・じゃあ」

ゆっくりと、表情のない俺に近づいてくる絢。
その甘い顔で、男や女オトしてきたんだろ。
なんでも余裕でこなしてきたんだろ。
研斗のことだって、まんざらでもねーんだろ。
そう思うと、全てバカバカしくなってきた。
「将悟さん、こっち見てください」
「・・・・・・」
絢の方へ向くと、首を引き寄せられ、当てるだけのキスをされた。


はぁ、もう、どうでもいい。


「んっ・・・」
気づけば俺は、絢の後頭部をグッ、と掴んで
深い深い、キスをしていた。

「っは、ちょ・・・」
絢の甘い声。
甘い吐息。
研斗に出会う前、遊んでいた自分が浮かんできた。
セフレと遊びまくる休日。
実に、つまらなかった。

でも、今は。
絢の声、絢の身体、絢の感触
感覚が麻痺している。
コイツは研斗じゃない。わかっているけど・・・


全て、研斗に重ねてしまう。


「将悟さん、いいなぁ・・・」
一度離れた唇を、絢が愛しそうに撫でた。
艶っぽい目で、俺を見て。
「欲しいなぁ・・・」
と、呟いた。

研斗、研斗、けんと・・・
目の前にいるのは絢。
俺が思うのは、研斗。

だけど俺はもう、おかしかった。
滑稽なほど、狂っていたと思う。


また、唇が重なる。
静かな部屋に、布擦れの音。
たまに響く、リップ音。
気づけば、俺はベッドに押し倒されていた。

「将悟さん・・・やめますか?」
「もう、なんでもいい。 どうなっても、いい」
俺の上に乗る絢の腕を引っ張り、また唇を重ねる。
胸に手を這わすと、絢は小さく反応する。
あぁ、なんで
なんでだ
なんでここまで




研斗に、似てるんだ

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